〈千葉市詩話会〉 実施報告 A
……10月・詩話会………………………………
「山佐木進氏の詩を読む」
今年7月1日に亡くなった山佐木進さん。
山佐木さんの詩を、詩集『讃歌』と『そして千年樹になれ』から12篇を抜粋。
参加者全員で読み直し、感想を述べ合いました。
この12篇は根本明さんの選でした。
地域の歴史への郷愁、生きとし生けるものへの慈しみと祈り。
何れも秀逸な作品ばかり。
改めて山佐木さんの詩の世界の完成度の高さに触れる機会となりました。 (秋元炯)
■詩集『讃歌』より
「包」
彼岸花が
たましいを
受けとる手つきになって
咲いている
階段をのぼりきった広場では
子供たちのはしゃぎ声
いのちのはじまりのみなもとは
きっと
あるひとときの地球を包んで
霧や雨粒になってただよいながら
いっせいに
世界にふりまかれていったのだろう
……9月・詩話会………………………………
* 岬 多可子さんのお話で「山本沖子の詩を読む」でした。
岬 多可子さんより:
9月の会では山本沖子さんの詩について紹介しました。
山本さんは三好達治の教えを受け、戦後まもなく『花の木の椅子』を上梓。
その後、約30年の空白期を経てから何冊もの詩集をまとめています。
三好が『花の木の椅子』の序に記した「言の雅 詞の醇 情の新 意の健」、
それに依るようにして磨かれてきた作品の数々に触れることができました。
■ 山本沖子 詩集『朝のいのり』(1979年)より
「 町 」
さかな屋は氷塊の上に三きれの鮭をのせていました。
洋服屋はツイードを一まきだけ置いていました。
宝石屋には木の葉にのせて真珠が一つぶしかありません。
くだもの屋には籠に入れた五個のレモンがありました。
おもちゃ屋の店のなかを虫がとんでいます。よく見ると、それは天井からつるした赤いモビールの飛行機でした。
歯科医院はすべてが水色なので、まるで、海の底のようです。
パチン、パチン、と音がしました。
傘をひらく音です。
雨が降ってきたのです。
……8月・詩話会………………………………
8月は休会です!
葉月の猛暑のなかにザクロやウワミズザクラの実が早くも色づいて秋を思わせ、
林では露草の青に交じってキツネノカミソリのオレンジの花が点々と咲いています。
さて、暑い日が続く8月は休会となります。ご注意ください。
*
■ 「詩の研究会」にご参加を。『千葉県詩集』参加作品の事前合評会です。
講師は上手宰さん。
8月20日(日)午後2時〜【千葉市中央コミュニティセンター5F・講習室1】
……7月・詩話会………………………………
7月の会では大掛史子さんが岡隆夫詩集『馬ぁ出せぃ』(日本詩人クラブ賞受賞)を紹介しました。
岡さんは英文学者でありながら農業にも従事するという多面的な詩人。戦争の現実を直視したり、
岡山の風土や農民生活などを方言や深い教養を織り交ぜてつづられる個性的で男性的な詩世界でした。
「馬ぁ出せぃ 馬だ 鉄馬だ この厩なら五頭だせぃ!」
主は駿馬十頭ひきいて 裏木戸よりそっと消える
〈ご勘弁くだせぃ 兵隊さん 馬ぁ人より大事ですけぇ〉
(「馬ぁ出せぃ」冒頭)
■ 詩の朗読 : 詩の発表と合評 ↓
……6月・詩話会(第72回)………………………………
6月の会は樋口冨士枝さんが「詩との出会い」と題し、大関松三郎詩集『山芋』を紹介。
1938年頃、新潟・黒条村の小学6年生が1年間に作った詩で、独特のタッチで自然と
農民の暮らしを描き、戦後に広く流布された詩集です。
驚かされました。
どっしりと 重たい手
おお こうやって もってみると
どれもこれも みんな百姓の手だ
(中略)
つぁつぁの手 そっくりの山芋だ
(「山芋」より)
■ 詩の朗読: 詩の発表と合評
……5月・詩話会 2017年………………………………
6周年記念講演会・「宮沢賢治の世界」
講師:伊東俊子氏
↑ 「紫紺染について」など
■詩の朗読: 詩の発表と合評
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