千葉市詩話会-5-6

〈千葉市詩話会 5号Top 4号の批評  前ページ 1 ・2 〉

  

「詩話会冊子 四号」感想   七 まどか

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「夜明けの陰謀論」秋葉信雄様

人智を超越したものからの警告のようだ。誰もが自分の発言を気軽に発信できる時代に言葉を扱うことの重みを再認識し、

身が引き締まる思いだ。


「キャベツ畑」秋元炯様
日常の風景にどこか残酷さを感じる。変化する時代の中で、変わらないキャベツ畑の中でしか生きられない爺さんの恨みの
ようなものを感じた。


「曼珠沙華」朝倉宏哉様
曼珠沙華の強い生命力と人間の命の儚さの対比が切ない。死と対峙したとき、人生が花に負けないほど鮮やかに輝くよう
生きたいと思った。


「リセット」池田久雄様
落語の小噺のような、コメディドラマのような詩だ。人生経験を重ねた方にしか書けないものだ。
思わずニヤリしてしまうオチが秀逸だった。


「春告げ草」石井真也子様
「梅」を中心に、過去と現在が展開されている。農業高校や通学路などが次々と現れ、取り留めなく過去を思い起こしている
様子が伝わった。


「揺蕩う浮舟」大掛史子様
コロナ禍で、日常が戻るのはいつなのか、と待ちわびる心に共感した。早く収束し、「浮舟」とは違う、幸せな結末となる
ことを願うばかりである 。

「レモンだった」大島千世子様
白黒フィルムの外国の映画を見ているようだ。その場の光景や香りが感じられるようだ。日常の一場面を切り取った温かみを
感じる詩だった。

「夢で逢えども」太田奈江様
夢なのか、現実なのか、文章を読んでもはっきりとしない不思議な感覚で、夢の世界に引き込まれたようだった。
一体誰なのか、とても気になる。

「眠る」岡田優子様

作品全体からどこか落ち着かないそわそわした心の動きが読み取れる。体温の消え方の描写がとても詳細で、消えゆく命を
惜しむ気持ちになった。

「祖父のハードル」翔様
おじい様のお人柄が非常によく伝わってきた。語りかけるような書き方のため、読むというより自問している心の中を
覗いているようだった。

「秋の森とねんねこと」白井恵子様
最初の擬音で落ち葉とともに作品の世界へ誘われた。痛みを忘れる代償に忘れてしまった大切なことを時折思い出さなければ
ならないと感じた。

「大失敗の朝」時女礼子様
朝の慌ただしい時間をドラマの一場面ように描写している。日常の失敗もただ落ち込むだけではなく、詩にできる感性を
見習いたい。

「風」長沢矩子様
季節は秋から冬に変わる、どこか寂し気に感じる頃だろうか。風と同様に姿は見えなくても、ご主人はいつも近くにいて、
見守っていると思う。

「裂けた木」根本明様
過去の自分への自省の念を感じる詩だ。神社の銀杏とコンビナートの対比は急速に発展した文明の脆さを認識しなければ
いけないと感じさせた。

「眼鏡」野村俊様
手術をきっかけとし、認識を見直すところまで思考が行き着くことは凄いことだ。自分も「眼鏡」で物事を見ていないか、
反省させられた。

「コロナになった娘」樋口冨士枝様
必死に後世に残そうと綴った手記のようだ。動揺した心の動きも「えっ」等の感嘆詞が入ることで、非常に臨場感があった。
お元気になられて何より。

「亡夫よ あなたですか」村上久江様
大切な人が人ではない姿となって会いに来る感覚に共感した。「あなたですか」という問いかけは、返事が聞こえなくとも、
きっと通じているだろう。

「晩秋」山本光一様
一つ一つの言葉選びが非常にロマンティックで恋をテーマとした詩にとても合っていた。どこか昔の少女漫画のような
懐かしさと儚さを感じた。  

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